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写真とテキスト

161121

「うちの店に飾るような下手な絵を、誰にも無断でこっそりと描いてくれないか?」

「信じられないようだけど、私は誰かに無断で絵を描くことなんてできない」

「店の猫に見せたいだけなんだ、猫じゃなくてもいい、花瓶に花を挿すとき、目障りになるような絵を」

「私は昨日、花を描くことはやめようと決めたの。花と、それに類いする、花のようなきらめき」

「うちの店はカレー屋じゃないし、そもそも食べ物なんて僕は作ったことがない」

「石ならあげるわ、とても硬い、だけど、私にとってはちょうどいい、驢馬のような」

「月を見たんだ、まったくぶさいくな、あまりにも正直な、いつも人の目を気にして、そのくせ自分が何色かも知らない」

「私が最後に描いた絵も月だった。15年前」

「月ばかり見ていれば良かったんだ、テレビなんか見ないで、塀を飛び越えて、アンテナ越しに」

「今はやわらかい布を探すことで頭がいっぱいなの。あなた知らない?この世界で一番やわらかい」

「椅子を持ってくればよかった、最近腰の調子がよくなくて」

「鳥の声がするわ。あれは驢馬かしら」

「僕は店をたたもうと思うんだ、最近すっかり宇宙人しか来なくなった」

「安いお店が増えたものね、やすいお店は行きやすいし入りやすい」

「途中まで読みかけてる本があるんだけど、どうもページが抜けている気がするんだ」

「誰にも無断で抜け出していくことなんてしないわ」

161104

 

再び、この一瞬を探している

160925

小さな矛盾を集めてばら撒いた

小さな矛盾はぼくの肩を、指を、頬を、切り裂いて

傷痕をそのまま乗せて

人の手の届かないところへ

そこからはシャワーのように

降り注ぐ、意味の無い、言説、規制、しきたり、寓話

それらはすべて、痛みが中心にあるのだろう

ありがたい生命の、豊かな反省と

繰り返される、愚かな焦燥が

金縛りのように人々を

忘却の地点へ押し流す

それがどんなに、安らかな、子守唄であっても

抗い続けなければ

声の主の、一言ひとことを

ぼくは射抜いて、集めて、調べて、掘り起こして、ばら撒いた

たくさんの傷痕をそのままで

 

傷のない宇宙へ

痛みのない病へ

160902

 

フォーエヴァー・エンド・オブ・ザ・ワールド

 

160812

うっすらと 広まるような景色

まっすぐに 薄まるような感情

ゆっくりと 静まるような症状

牛乳と一緒に飲めば何も怖くない

探しものは無くしたままでも大丈夫