161201

161129

向こうに行くまでに少しは大人になれるかな

先端で泳ぐイルカのようになれるかな

素足の暮らしに慣れることができるかな

昨日の夜見た夢は調子の狂うものだったな

聴診器の冷たさだけはよく覚えているな

あの未来人の言葉は本当だったのかな

 

送信ボタンを押す指ににじむ汗

 

私の選んだ道は

いつまで僕を歩かせることを

許すかな

161121

「うちの店に飾るような下手な絵を、誰にも無断でこっそりと描いてくれないか?」

「信じられないようだけど、私は誰かに無断で絵を描くことなんてできない」

「店の猫に見せたいだけなんだ、猫じゃなくてもいい、花瓶に花を挿すとき、目障りになるような絵を」

「私は昨日、花を描くことはやめようと決めたの。花と、それに類いする、花のようなきらめき」

「うちの店はカレー屋じゃないし、そもそも食べ物なんて僕は作ったことがない」

「石ならあげるわ、とても硬い、だけど、私にとってはちょうどいい、驢馬のような」

「月を見たんだ、まったくぶさいくな、あまりにも正直な、いつも人の目を気にして、そのくせ自分が何色かも知らない」

「私が最後に描いた絵も月だった。15年前」

「月ばかり見ていれば良かったんだ、テレビなんか見ないで、塀を飛び越えて、アンテナ越しに」

「今はやわらかい布を探すことで頭がいっぱいなの。あなた知らない?この世界で一番やわらかい」

「椅子を持ってくればよかった、最近腰の調子がよくなくて」

「鳥の声がするわ。あれは驢馬かしら」

「僕は店をたたもうと思うんだ、最近すっかり宇宙人しか来なくなった」

「安いお店が増えたものね、やすいお店は行きやすいし入りやすい」

「途中まで読みかけてる本があるんだけど、どうもページが抜けている気がするんだ」

「誰にも無断で抜け出していくことなんてしないわ」

161104

 

再び、この一瞬を探している

160925

小さな矛盾を集めてばら撒いた

小さな矛盾はぼくの肩を、指を、頬を、切り裂いて

傷痕をそのまま乗せて

人の手の届かないところへ

そこからはシャワーのように

降り注ぐ、意味の無い、言説、規制、しきたり、寓話

それらはすべて、痛みが中心にあるのだろう

ありがたい生命の、豊かな反省と

繰り返される、愚かな焦燥が

金縛りのように人々を

忘却の地点へ押し流す

それがどんなに、安らかな、子守唄であっても

抗い続けなければ

声の主の、一言ひとことを

ぼくは射抜いて、集めて、調べて、掘り起こして、ばら撒いた

たくさんの傷痕をそのままで

 

傷のない宇宙へ

痛みのない病へ